The Explorer

July 1, 2015

六本木ミッドタウンにある Design Hub でおこなわれた展覧会、〇〇〇も〇〇〇も〇〇〇も展のために、「エクスプローラー(アマゾンにいくぞー!)」という作品を制作しました。

ギャラリーの入り口付近におかれた、観光望遠鏡をのぞくと、目の前には 50m 離れた場所におかれた1台のコンピュータがあらわれます。望遠鏡側の手元におかれたマウスとキーボードを操作すると、遠く離れたコンピュータを操作できるようになっています。途中、他のお客さんが、望遠鏡とディスプレイの間にたってしまい、画面が見えなくなったり、不慣れな姿勢での操作にカーソルが思うように動かなかったりと、いつもやり慣れたインターネットは 50m という距離によって、ぎこちなく、よそよそしいものになってしまいます。

遅く不便だった昔のインターネットは、スマホの普及やさまざまなウェブサービスの登場によって、今ではぐっーーと、わたしたちにとって身近になりました。でも、誰もがいつでもどこにいてもインターネットの中にいる時代になったいま、なぜか前よりも窮屈になっている気も同時にします。この作品は失われつつある「インターネットと距離」について探求したものです。

この装置を通して体験するインターネットは、自分の思い通りにいかない残念なものですが、情報を「前のめり」に吸収しようとしていたあの頃の姿を、思い出すことができるかもしれません。

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Photography: kentahasegawa
Special thanks: Covac Inc. (www.covac-jp.com)

最初はディスプレイと wifi などを使い映像で遠隔中継するような方法も考えましたが、やはりここはアナログで肉眼の解像度での体験を大切にしたいという気持ちから、デジタルではなく光学式のアナログな観光用望遠鏡を利用しています。

この望遠鏡は京都にある COVAC というメーカーさんにご提供いただきました。COVAC さんの望遠鏡は日本中の観光地にあちこち設置されているそうで、淡いなブルーとどっしりとした美しいたたずまいが目を引きます。「室内で離れたところにあるパソコンを見る作品をつくりたい」 というまるで意味不明な依頼を快く引き受けてくださって大変感謝しています。望遠鏡というだけあって、通常は数キロ先のものを見るためにレンズを調整してあるらしいのですが、この作品のために 50m という望遠鏡にしては超短距離で焦点が合うようにカスタマイズしていただきました。