2026年3月28日

年表という形式

アートプロジェクトに関する情報を広くあつかう TARL のウェブサイトに、新しいコンテンツとして年表が追加された。

年表|Tokyo Art Research Labtarl.jpに蓄積した情報や、関連する出来事から、個人の活動とそれを取り巻く社会の連関を捉え、これからの時代に応答するアートプロジェクトのかたちを考えるための年表です。tarl.jp

この年表には TARL やその関係者、アーツカウンシル東京に関する情報が収録されている。それだけでなく、社会的な事件や事故といった象徴的な出来事も合わせて掲載されている。

ものにはさまざまな情報があり、その情報にはさまざまな扱い方の形式がある。

たいていは「1つの軸」で複数の情報を串刺しにすることで、複雑な情報をわかりやすく提供する。

なんでもいいのだけど、たとえば「ニンジン」にはどんな情報があるだろうか。色・重さ・産地・生産者・収穫日・栄養成分。ニンジンはそういった情報をもつオブジェクトであるといえる。

「大阪万博」のような出来事であっても同じだ。開催期間・総予算・入場者数・パビリオン数・主催者。やはり情報を持っている。

年表はこれらの情報の大小にかかわらず、すべてをとにかく世界共通の「年」で串刺しにして並べる。なんというか平等というか、ある意味では非常に大雑把な手法なのだ。

さて、TARL の年表はそんなやや乱暴な形式を踏襲しつつ、さまざまな条件でフィルターを掛けたり、興味のあるものだけをピン留めできる機能も持っている。

年表が動的になることで、乱暴だった1次元の軸に「自分の興味」というもう1軸を重ねることができる。そうして自分と TARL の歴史年表のあいだにインタラクションが生まれたら、つくり手としてはとても嬉しい。

ということで年表の公開と合わせて、アーツカウンシル東京の櫻井さん、小山さんとお話する機会をいただいた。そのレポートも公開されています。読んでいただけたらとても嬉しいです。

思考の道具としての年表――その機能と可能性(萩原俊矢×櫻井駿介×小山冴子)|これからの航路に向けて レポート②|Tokyo Art Research Lab 2026年2月24日、これからの時代のアートプロジェクトのかたちを考える企画「これからの航路に向けて」をアーツカウンシル東京の会場およびオンラインで開催しました。本企画では、2025年度に事業を終了する「Tokyo A […]tarl.jp

加えて…、ふと思ったけど X(旧ツイッター)のタイムラインは、一見すると年表のようでありながら、個々人で並び方が異なっている。エンゲージを最大化するアルゴリズムが「あなたが興味をもちそう順」に情報を並べ替えた、「年表」ならぬ「個々人興味表」とも言えるかもしれない。

ソーシャルメディアのポイントは「世界共通のタイムラインを共有していない」ということなのかもしれない。それぞれの見ている歴史が異なるのだから、すれ違っていても自然なことなのだろう。